10月となり、日が暮れるのがずいぶん早くなったなと感じる今日この頃。 我が家のベランダを開けると金木犀の良い香りがします。 気温もすっかり涼しくなり、過ごしやすくなりましたね。 皆様、こんにちは!
一番好きなフルーツはキウイフルーツの山田諭です。
早速ですが・・ 皆さんの最近の夢は何ですか?
夢といっても、人それぞれ、大小様々ありますよね。 例えば、
「今週のハードな日々を無事乗り切った暁には、スーパー銭湯でも行って、温泉とサウナ、その後お酒をたしなみ、最後にマッサージも施してもらおう」
もしすぐに実現困難の場合、これも一つの「夢」に当たるのではないでしょうか。
・・・
あぁ、スーパー銭湯行きたい…(笑)
さて。 何故急に夢について質問したかと申しますと、 先日テレビにて、ある一家の特集をしていました。
「コロナ禍でリモートワーク主体の生活となり、それを機に都内在住の一家が山梨の別荘を安値で購入。その後DIYにて別荘を次々とリフォーム。家のリフォーム後もご主人のDIYは止まることなく、ツリーハウスやピザ窯、露天風呂、ついにはジップラインまで作成! 都内の家は残しつつも、今は週の半分を山梨で快適に過ごしている・・」
なんて素晴らしいんだ・・羨ましい! でも別荘買う金なんかない。 ・・自分には無縁な話だ。
この時はそう思っていた。
ここで話は20年以上前の、大学時代に遡ります。
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大学1年の春。 自分は大学の演劇部のドアを叩いた。 「何かを始めてみたい」「演技ならば自分でもできるのではないか」という思いで。 何となく目立った方が良いのではないかという思いで、髪の毛を明るめの茶色に染め、そこそこ気合も入っていた…ように思う。 同期の1年生は確か15人。癖が強く、個性派揃いが集った楽しい連中であった。
入部後間も無く、6月の定期公演に先立ち、自分にとっては初の部内オーディションが行われた。 キャスト志望の部員にとって、無事キャストになれるのか、或いはスタッフ側に回るかが決まる大事な闘い。
そう、大事な闘いのはずだった! しかし・・・
緊張するあまりセリフを噛み倒しまくった僕には、 後日、 「キャスト不合格」と共に、スタッフの「装置」(一般的には言う「美術」「大道具」)への配属が言い渡された。
この部署が「地獄の部署」であることが後に明らかとなる。
何が地獄であったかというと、 みんなが初めて担う、素人メンバーであったと言うこと。 2年生のリーダー(以後「A先輩」)1名と、自分ともう一人の1年生の2名の計3名体制。 何か分からないことがあれば、この方に聞いてくれと言う4年生(以後「レジェンド」)が1人いたが、レジェンドは取得単位数の関係で卒業が危ぶまれる立場であった為、今公演には参加しておらず、なかなか捕まらない・・。 何より、何が分からないかも分かっていない1年生の自分には聞きづらかった。
ならば、代わりにA先輩からレジェンドへ色々聞いて貰いたかったが、彼は全く分かっていないにも関わらず、気高きプライドが邪魔をしたのか、それとも恥ずかしがり屋さんだったのか、何故かレジェンドに聞こうとしない。 それだけならまだ「可愛い」で済む話だが、分かっていないのにそのまま突き進もうとする悪い癖があった。
我々1年生の2人は彼の迷走っぷりに振り回され、 休憩時間もろくに与えられず、 A先輩に命じられ、見よう見真似でようやく作り上げたイスは、演出家からボツと言い渡される始末。 日は過ぎていくばかりで、肝心の舞台セットは全く出来上がらない。 焦ったA先輩はイライラし出す始末。 下の人間にとって、正直彼は最悪の上司であった。
そんな日々を経て、我慢の限界を迎えた自分は、 レジェンドに直接聞きに行き、本を読み、独学で舞台セットの作り方を学んでいった。 同期のキャストメンバーが冷房の効いた稽古場で楽しそうに談笑している中、 自分ともう一人の同期は、野外の作業場にて木くずに塗れ、暑さと雨と飢えに耐えながらも、これまでの遅れを取り戻すべく、時に授業をサボり、舞台公演に間に合わすべく、猛烈に作業に明け暮れた。
A先輩は忙しかったのか、単純に来たくなかったのか、合流する時間が日々遅くなっていったが、我々部下にとってそれは逆に好都合であった。
その甲斐あって、舞台セットは期限内に完成! 大きな問題もなく、公演も無事終了。 今考えれば、決して誉められる代物ではなかったが、自分にとっては忘れられない舞台装置となった。
A先輩はその後、フェードアウトするように部を去っていき、 やがて僕は、「装置」の第一人者となっていくのであったが…。
当時を知る演劇部員で、今でも俳優業を続けているのは自分の知る限り、全学年合わせても片手で数える程度だろうか。 今でも俳優を続けていられるのは、 最初の不合格の悔しさや「装置」での苦い経験が、きっと一つの活力となっているのだと思われる。
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話は今に戻る。
そんなこんなで、ある程度の大工仕事の知識と技術はまあまああるつもりで、決して自分は素人だとは思っていない。
「環境さえ整えば自分にだって…」
そう思っていた。そんな矢先の出来事。
今年の8月。夏休みに帰省した際、 以前から痛み具合が気になっていた実家の居間の床にて、今にも穴が空きそうな箇所がいくつか見受けられた。
「あ、実家をリフォームすればいいじゃないか!」 「こんな近くに手軽にDIYし放題の環境発見!」
だが、 同時に不安がよぎる。
「約50年前に建てられた床の構造ってどうなっているのか?」 「それは本当に自分の手に負える範疇の作業なのか?」
それから僕は「床の張替え」についての情報をYouTubeで調べ、 期待と不安の気持ちが入り混じった中、いざ決戦に向かった。 来たる9月のシルバーウィークを利用し、作業完了期限は4日間と定めた。
予定では余裕を持って終わるはずだった。 しかし、 いざ始めてすぐ、自分はとんでもない闘いを仕掛けてしまったことを知る。
■1日目 埃まみれになる事を想定し、屋内を軽く養生。 次に、床の最も傷んでいる箇所に試しに穴を開け、構造状況を確認。 ちょっと穴を開けた程度だった為詳細までは分からなかったが、おそらくYouTubeで確認した構造と同じだろうと決め打ち、最寄りのホームセンターで床材を購入。 丸ノコのレンタルサービスも利用。 その後、床をちょっとだけ剥がし、その日の作業は終了。 床下は見え、かび臭い。もう後戻りはできない。
■2日目 床を剥がす作業が一番の重労働。 この日に全て剥がす予定であったが、床の骨組みと床材が強力な接着剤でくっついており、なかなか作業が進まない。何より力が必要とされた。 知らぬ内に腕には複数の傷ができており、やがて筋肉痛で力が入らなくなった。 過去にぎっくり腰をやっている自分は、腰への配慮をしつつ、予定していた作業の半分程度にとどまり、作業終了。 早くも体は疲労困憊。浅はかだったと後悔した。
そしてこの日の夜、台風が静岡を襲う。 テレビでの警報から始まり、やがて携帯から災害警報音が頻繁になり始める。 23時にふと外に出ると家の前の道路に、小川のような僅かな流れができていた。 そして夜中のAM4時、再び玄関を開けると、家の前の道路は川になっていた。 補修中で剥き出しになった床底には、僅かに水が流れ込んでいた。 これはまずい…。
■3日目 昨晩の台風、幸運にも我が家に関しては床下浸水でとどまり、床張替え作業には支障をきたさずに済んだ。 でも周りのご近所さんに関して言えば被害も様々で、それを考えると喜ぶ事などできなかったが、 その時の自分には目の前の床補修を完了させるしかなかった。 予定では半分くらい新しい床を敷き詰めてるはずだったが、現実はまだ古い床の剥がし作業が半分残っている。 とりあえず床を全て剥がし、行けるところまでやることに軌道修正。 身体中が痛い。でも代わりがいないから頑張る。 古い床を剥がし終えたものの、新しい床はほんの少しだけ貼る程度でこの日の作業は終了。 間に合わない…。
■4〜6日目 手には複数のマメ。膝は擦りむき、手首も痛い。 進める度にコツを掴んでいくが、それでも細かな計測・カット・微調整が度々必要になる。これがまた大変で難しい。 結局作業は2日間延期を余儀なくされたが・・無事床貼りが完成! そして古い床材等も車に積める長さに切り、無事最寄りの産廃処理場へ。
長い闘いは終わった...。
最終的に手の指10本中6本にマメを作り、満身創痍だった。 僕はよく自分を過信しすぎるところがある(苦笑) 心配された腰はなんとか持ち堪えてくれた。
大学時代、 公務員試験の勉強を途中で挫折。 入学当初目指していた「福祉」の道を大きく外れ、最終的に「役者」の道を選択。 それ以来、親の期待を裏切り続けてきたが、 今回に関して言えば、大学時代と劇団公演で学び培った知識と技術が役に立った。 今回の件で少しだけ相殺させてもらえたらなと、淡い期待を抱いております(笑)
「諦めなければなんとかなる」 自分にとって大きな意味のある経験となりました。
最後に。 今年の12月に控えたメンソウルの本公演。 詳細のアップ後、たくさんの反響を頂き嬉しい限りであります! ちなみに自分は今回、様々な諸事情により舞台上の出演を控えさせて頂きました。 決してトラブルがあったとか、そのようなものではありませんのでどうかご安心下さい! ご心配下さった皆様、本当にありがとうございました!!
今回杉本さんの優しいご配慮で、「声の出演」という枠を頂き、今から非常に楽しみであります。 最新作の「親父の記憶」、乞うご期待下さい。 皆様と劇場でお会いできるのを楽しみにしております! 何卒よろしくお願い致します!!
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Date: 2022/10/11(火)
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